第52回酸化反応討論会
2019年11月9日(土)〜10日 (日) 奈良女子大学  

ホー ム
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  招待 講演

 山中 一郎 先生  (東京工業大学・物質理工学院・教授)


講演題目:反応場分離を活用した電解・触媒反応の開拓と機構解明


概要:固体触媒上での炭化水素の酸化反応は基質の酸化と酸化剤の還元が同一表面上で進行する.この触媒作用を微視的に見ると酸化と還元の反応場が物理的あ るいは時間的に分離された状態で進行しているケースがある.「酸化場と還元場を積極的に分離して活用すれば触媒反応を選択的に進行させることができる」と の閃きのもと,電解反応や触媒反応に反応場分離の概念を組み込んだ化学変換系と触媒作用について紹介させていただきます.








○ 樋口 恒彦 先生  (名古屋市立大学・薬学研究科・教授)


講演題目:ヘム酵素モデル研究の多様な展開


概要:主要でユビキタスな酸化酵素として挙げる ことができるシトクロムP450のヘム酵素としての主な構造的特徴は、軸配位子がチオラートであることあり、機能的特徴はアルカンなど炭化水素の水酸化を 容易に行えることである。演者は、まず、チオラートを軸配位子として有し、酸化反応で軸配位を保ったまま触媒能を発現する初めてのヘム錯体を開発した。ま た、アルコラート配位、セレノラート配位のヘム錯体も比較のために合成し、3錯体の触媒能、分光学的特性の比較より、軸配位子効果を詳細に解析した。一 方、機能モデルとしてRuポルフィリンと含窒素ヘテロ環N-オキシドとの組み合わせが強力な酸化反応系となることを見出し、アルカンやN-アシル環状アミ ンなどの酸化変換に用い得ることを実証した。さらに、Ruポルフィリン骨格に基質認識能を付与したもの、及びビス−ポケット型のものも開発し、アルカン酸 化の位置選択性を高めた。これら以外にも、カタラーゼ機能モデルとして、活性酸素消去能を有するマンガンサレンに反応補助基を分子内に配置し消去能を高め た、医薬を志向した分子の開発も行っている。