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奈良女子大学
藤井研究室
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私たちは、生きていくために鉄や銅のような金属イオンを必要とします。これらの金属イ
オンは、私たちの生命を維持するための重要な働きをしています。私たちの体の中の金属イオンの多くは、タンパク質と結合して、金属タンパク質、金属酵素と
いう分子になります。私たちのグループでは、金属タンパク質や金属酵素が体の中でどのようにして働いているのかを研究しています。
| 金
属酵素ってなに？ |
私たちは健康を維持していくために、鉄、
銅、亜鉛をはじめとするいろいろな金属イオンを食べ物からとらなければなりません。どうして金属イオンが必要なのでしょうか？
私たちの体の中の金属イオンは、タンパク質と力を合わせて、私たちが運動するためのエ
ネルギーを作ったり、体の中に侵入してきたばい菌をやっつけるなど、私たちの命を守るために欠かせない働きをしています。金属イオンが不足すると体の調子
が悪くなるのもこのためです。金属イオンがタンパク質と合体したものを金属酵素と言います。
体の中では、金属イオンは金属酵素として働いているのです。
スーパーオキシドジスムテース（SOD)
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ミエロペルオキシダーゼ（MPO)
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上の図は、金属酵素の例です。左はスーパーオキシドジスムターゼ（SOD)、右はミエロペルオキシダーゼ（MPO)です。SODは、体内で発生した活性酸
素を除去しています。一方、MPOは白血球内で体内に侵入した細菌をやっつけるために使う次亜塩素酸を合成しています。緑色で示したぐにゃぐにゃしたもの
がタンパク質です。SODでは、オレンジと青の玉がその中にありますが、これが金属イオン（銅イオンと亜鉛イオン）です。またMPOでは、ピンクで示した
ヘムが鉄イオンと結合しています。
これらの金属酵素の金属イオンの周りを拡大してみます。
SODの活性部位の構造
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MPOの活性部位の構造
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金属イオンは、タンパク質のアミノ酸残基やポルフィリンなどの有機物と配位結合を形成してタンパク質と複合体を形成し、金属酵素を形作っています。
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金
属酵素の手とはさみ
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金属酵素は、わずかな金
属イオンを使っていろいろな反応をします。また、金属酵素がする反応はむだなく、非常に効率よく、しかも穏和な条件で進行します。どうして金属酵素はこん
なに優れているのでしょうか？
金属酵素には、私たちの手のようなものがあります。また、化学反応により物質を変換するためのはさみのようなものもあります。この手とはさみを使って、酵
素はむだなく、効率よく、穏和に反応 を進行させます。手とはさみの組み合わせ方を変えれば、酵素の機能も
変わります。だから、わずかな種類の金属イオンでも多くの種類の反応ができるのです。つまり、金属イオンとタンパク質の無限の組み合わせの中には、機能と
直結した規則性があるのです。これが酵素がもつか
らくりです。でも、複雑な酵素の中でどこが手でどこがはさみでしょうか？それを解明することは、酵素の研究の最も重要なところであり、私たちの研究室では
これに日々取り組んでいます。酵素のどこが手になり、はさみに
なっているかを研究しています。手とはさみがわかれば、酵素がどのようにして働いているかがよくわかるようになります。こうした研究は、将来、病気の治
療、薬の合成、人工酵素の開発などに役立つと考えています。
ヘムオキシゲナーゼ（HO)の手とはさみ
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上の図は、私たちの研究室で明らかにしたヘムオキシゲナーゼの手とはさみの様子です。アルギニン
１８３番が手の役目をして、ヘムが逃げないようにしっかり固定します。アスパラギン酸１４０番ははさみの役目をします。ヘムがしっかり固定されているので
手元をくるわせることなく、ヘムのα位だけが選択的に切断されます。この反応は、私たちの血液を新陳代謝するために必須の反応です。酵素は、腕のいい板
前さんとよく似ていますね。
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身
近にある金属酵素の実験
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身近にある金属酵素を体験してみましょう！まず、下の写真の材料を用意します。
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料理をするのではありませんよ。私たちがふだ
ん口にする食べ物の中には、いろいろな金属酵素が含まれています。どんな食べ物にどんな 酵素が含まれているでしょうか？
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実験１
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それぞれの食べ物を５ｍｍ角くら
いに切りま
す。試験管を６本用意して、その中にオキシドールを１０ｍｌづつ加えておきます。それぞれ の試験管に先の食べ物の小片をいれます。どうなるでしょう？
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実験２
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それぞれの食べ物を５ｍｍ角くら
いに切りま
す。試験管を６本用意して、その中にオキシドールを10ｍｌとちょっと特殊な試薬（色が付
く）を少量加えておきます。それぞれの試験管に先の食べ物の小片をいれます。どうなるでしょう？
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