化学統計力学」受講者の皆さんへ
             
平成15年6月




 化学統計力学には、統計力学自体の内容だけではなく、量子論や熱力学の話題が出てきたために、やや難渋を感じたかもしれない。一般に、量子論も熱力学も統計力学も、化学を専攻する多くの大学生にとってはちょっとした難所である。
 実は、これだけの多くの内容“すべて”を受講生がこの半期に完全にマスターできるとは、私自身思っていない。しかし、大事なことは、いつまでも純粋な疑問を持ち続けて「どういうことだろう?」「何を言っているのだろう?」と考え続けることである。何度も本やノートを見返しているうちにフッとわかることがある。大学の勉強、というより“学問”とは本来、お子様ランチメニューのように咀嚼されて提供されている高校まで学科内容とは異なり、次々にわからないことが出現するものである。“わからないこと”はもはや日常的なことである。わからないことに慣れる、あるいは、疑問と共存していただきたい。
 何度も以前の講義ノートや教科書・参考書を見返しながら考えつづけると、いつかわかるときが来るものである。そのような態度を取りつづけることができるかどうか、つまり、それほどの熱意があるかどうか、ということが学問を習得する上での全てと思う。講義が終わった後、復習も演習問題を解く努力もせず、容易に納得できたり理解できるほど、大学の学問は甘くはない。試験のために意味もわからず丸暗記しても何にもならない。一方、理解のために仲間と議論することはよい助けになる。

講義時間中に配布した「化学統計力学まとめ・演習問題」のプリントはA4サイズのものをここから ダウンロード できる (Acrobat Reader 5.0Jが必要。Acrobat ReaderはGet Acrobat Reader ここから無料でダウンロードできる)。

下の「はい」をクリックすれば、「まとめ」「演習問題」の解答(略解。すべての問題の解答はない)を見ることができる。もし、まだ自力でやっていないのなら、自力でやってから解答を見られたい。自分で考える前に解答を見ては何の勉強にもならない。特に、「まとめ」は、講義ノートや教科書を見直すことによって、頭の整理をすることを目的にしているので、必ず自分で空欄を埋めてから、あくまで最後の確認のためにだけ、解答を見られたい。「課題」は統計力学を学ぶ前の基本の知識の復習のためにある。ここでつまづいた諸君は以前の講義(熱力学・量子論)を復習されたい。 「演習問題」も、特に、問題1、2は基本問題なので、必ず自分で考えられたい。どの問題も難しそうに見えるが、それは見かけに過ぎない。

(解答に訂正あり。
「まとめ」の(10)の解答は、
S = - k Σpi log pi
です。以下のPDFファイル・画像ファイルの解答をそのように修正して下さい。
(「分子1個あたり」のエントロピーなので、N倍する必要はありません。)

※注: 解答中のアトキンスのページ数は第4版のものなので、ページ数が違っているが、対応する式を自分で探されたい。

あなたはもう自力で解答しましたか?


はい いいえ


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