誰でもマスターできるFORTRANプログラミング

  多くの化学の学生にとって、コンピューターは、数学あるいは物理といった学問と同じく、あまり得意でない、得意でないことはなくてもあまり親しみを感じにくいトピックスであるようです。私自身も、工学部の工業系化学科で学部時代を過ごしましたから、その現状はよく認識できます。一つの原因は、情報処理教育、あるいはコンピューター教育というものが、化学科では(他の分野に比べて)一般にあまり重要視されていない、あるいは、重要性は認識していてもあまりにも多くのマスターしなければならない化学実験の課題の陰に隠れてしまうことにあります。
  私の学生時代も、私の所属していた学科のカリキュラムには学部4年間を通じて何の情報処理教育の科目もありませんでした(工学部の他の学科は多かれ少なかれ演習科目があったのですが)。ものを知っている他学部の友達の話をきくにつれ、このままコンピューターを知らないままでいいんだろうかと思って、ずいぶん内心焦りを感じたことを思い出します。当時は、パソコンの前のマイコン時代で、いわゆるマイコン少年は自分でプログラムを書いて、なにやらすごそうなことをやっていた(ように私の目には見えた)のでした。自分はそういう趣味はなかったので、何か取り残されたような気がしたものでした。4回生の研究室配属で、理論系・計算系の研究室を選んだ無意識の理由の一つに、こういう焦り、あるいは、「今のようなコンピューター時代に、コンピューターを全然知らずに卒業してしまって大丈夫なのだろうか?」と考えたことがあったのかもしれません。実際、実験系の研究室を卒業して結局コンピューターに大学4年間一度も触わらずに某メーカーに就職した先輩が、就職してから会社の人に、「それは天然記念物だ」といわれた(つまり、それほどコンピューター経験のないのも珍しい)という話を聞いたこともありました。私の場合は、研究室に入ってからは、それはもう計算計算の毎日で、あっという間に大型計算機のまともなユーザーになってしまいました。オープンリールの重い磁気テープを担いで計算センターに出かけていたことを懐かしく思い出します。案ずるより産むがやすし。単に触れるチャンスがあるかどうか、ということだけだったのですね。
  話が随分それてしまいました。このホームページは、本学化学科学生以外の一般の方もご覧になっているのですが、とりあえず、本学化学科の話に限定しましょう。現在、本学化学科の科目には化学科としては単独の「コンピューター科目」は設定されていません。もちろん、実験室実験科目の中に多少のコンピューター操作演習が組み込まれていますが、あまり十分とはいえないでしょう(正直言って)。とりわけ、自分で解析のための「プログラムを作る」といった、自前の作業については教育を行っていません。ただ既製のソフトウェアを利用することに留まっています。既製のソフトを使うというのも、もちろん、使えないより使えたに越したことはないのですが、所詮ユーザーはソフトの枠組みの中でしか遊べない、極論すれば、ソフト開発者の奴隷だという気もします。これは、実は研究モードでは重要な点です。ちょっと話がまた飛んでしまいました。
  もし、皆さんのなかで、この現状にあきたらず、自分でプログラミングを勉強しようと思う人は、下のリンクにある、私の書いたテキストをダウンロードし、自習してみてください。これは単にプログラミングといったテクニックの修得だけではなく、コンピューターを使った数値計算の理解をも目指していますコンピューターで、微分、積分、それに方程式の求根ができる
のですが、どのようにしてそれらができるようになるのか、理解が深まり、さらに不得手だった数学もよりわかるようになるはずです(コンピューターは数学の不得手な人の使う道具だと私は思っています)既製のソフトを使わずに自分でプログラミングをすることの意義や何が大切なのかということも、テキストの一番始めに書いています。5日間連続して集中して実習すると効果があります。一応、5日間程度の演習で、誰でも、パソコンの素人でも、FORTRAN言語によるプログラミングがマスターできます。たった5日間です。要はやる気の問題です。途中、演習問題がありますので、それを順番に解いていってください。つまり、エディターを使ってプログラムを作成(打ち込み)し、それを走らせてください。その後で、解答を見てください。そうやって、一つ一つ進んでください。また、すでに研究モードに入っている学生さんは、このテキストは辞書代わりに利用するのがいいと思います。いちいち問題を解いている余裕はありませんから。
  ただし、皆さんの手元に、パソコンやワークステーションといったコンピューターがあることが前提になります。それに加えて、FORTRAN(コンパイラー・開発用ソフト)のソフトウェアがそのコンピューターにインストールされていることが必要です。さらに、エディターもインストールされている必要がありますが、WINDOWSであれば、すでに組み込まれているワードパッドのようなもので代用することもできます。一方、FORTRAN開発用ソフトは別途導入する必要があります。PC−FORTRAN、MS−FORTRANといったものが思い出せますが、富士通もWINDOWS用のFORTRANを出しています。YAHOO等で調べてください。なお、本学の情報演習室は学生さんに自由開放されており、室内のパソコンには、FORTRANがインストールされているはずです。これだと、投資の必要がなく、自由に演習できます。これについては、情報処理センターに問い合わせてください。  


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