研究概要-片岡

研究概要

新しい後周期遷移金属錯体、特にInd-P配位子(インデニル基とジフェニルホスフィノ基がエチレン鎖で架橋された配位子)を有するイリジウム錯体の合成・反応性に関する研究、およびそれらのイリジウム錯体触媒を用いた環境負荷の低い有機合成反応の開発を行なっています。



研究テーマ

1.位置選択的なヒドロシリル化反応

2.2級シランの異種官能基導入反応

3.配位形式の変化を伴う変換反応



1.位置選択的なヒドロシリル化反応

Ind-P配位子を有するイリジウムI価錯体1に3級シラン、アルキンを順次加えると、イリジウム上に不斉点を有するアルケニルシリル錯体(Rpl*,SIr*)-βが得られます。この錯体にPhI(OAc)2を作用させるとE体のアルケニルシランが得られます。PhI(OAc)2の代わりにNBSを用いると、Z体のアルケニルシラノールが生成します。一方、1に対し先にアルキンを加え,その後3級シランを作用させると、アルキンの挿入における位置選択性およびイリジウム上に発生する不斉炭素の立体化学が先ほどとは逆となるアルケニルシラン錯体(Rpl*,RIr*)-αが得られます。さらに、この錯体にPhI(OAc)2を作用させるとシリル基のα位に置換基を有するexo型のアルケニルシランが生成します [1]。


文献

1. 椿本、浦、片岡、第58回有機金属化学討論会、P2C-40 (2011).


2.2級シランの異種官能基導入反応

2級シランとアルキンから得られるシリルアルケニル錯体を加熱すると、還元的脱離反応および生成したアルケニルシランの酸化的付加反応が連続的に進行します。この反応を応用すると2級シランの2つのケイ素−水素結合に異なった置換基を導入することができます。置換基の異なるプロキラルな2級シラン(R = Me)を用いるとケイ素上に不斉点を有する4級シラン化合物の合成が可能となります [1]。



文献

1. Sakano, N.; Ura, Y.; Kataoka, Y. ICOMC, 3P-054 (2014).


3.配位形式の変化を伴う変換反応

イリジウム錯体1に末端アルキンを作用させると酸化的環化反応が進行し[2+2+1]型のイリダシクロペンタジエン錯体が得られました。一方、内部アルキンであるDMADを作用させると、2分子のDMADのアルキン炭素とインデニル基のシクロペンタジエニル部位の2つの炭素による[2+2+2]型の環化反応が進行しました。この反応ではInd-P配位子のインデニル基の配位形式(hapticity)がη5からη1に変化しています [1]。



文献

1. 加藤、椿本、浦、片岡、第60回錯体化学討論会、P2-39 (2011).