講義コード 3311800
開設科目名 化学統計力学
担当教員 衣川 健一
教員所属 理学部
開講期・曜日・時限・教室 前期 金曜日 3・4時限 A201
授業方法 講義
対象学生 3回生
単位数 2
週時間 2



授業の概要
多数個の分子の集団の性質は「熱力学」の考えによって説明されるが、それだけでは分子論的なイメージに欠けてしまう。しかし、本科目で学ぶ「統計力学」は1個1個の分子の性質と多数個の分子集団の性質を結びつけ、熱力学的性質という「巨視的な」性質が現れる成り立ちをわかりやすく説明する。その論理を講義する。
学習・教育目標
内部エネルギー、エントロピーといった「巨視的な」熱力学量(それらはいつも多数個の分子の集団に対して述べられる)が、「微視的な」分子レベルに基づいた具体的なイメージとリンクするような理解を目指す。
キーワード
統計力学、熱力学量、アンサンブル、ボルツマン分布、分配関数
授業計画
以下の項目を講義する。
(1)エントロピーのボルツマンの定義とその意味
(2)熱力学的エントロピー(通論で学習した定義)とボルツマンのエントロピーとの等価性
(3)ボルツマンの確率分布則
(4)分子のエネルギー・分子間力
(5)速度空間・位相空間について
(6)分配関数について
(7)正準集団について
(8)熱力学第3法則の意味
(9)熱力学第2法則の意味
(10)自由エネルギーの意味と自発変化・平衡についての解釈
(11)分子の自由度とエネルギー等分配の法則
(12)気体分子運動論
(13)マックスウェル‐ボルツマン速度分布
(14)量子論に従う体系の場合について
(15)フェルミ統計・ボーズ統計
教科書
1. 物理化学 第8版(下)16-17章、21章-1 アトキンス 東京化学同人 2009
参考書
1. 熱・統計力学(物理入門コース7) 戸田盛和 岩波書店 2007
2. 物理化学 マッカーリ・サイモン 東京化学同人
3. 熱力学・統計力学 原島鮮 培風館 1978
成績評価方法
統計力学の『論理の理解』とそれを使って『基本的な計算ができる』ことを問う。暗記は無用なことである。筆記試験を重視する。
成績評価割合
(%)
定期試験(中間・期末試験)小テスト・授業内レポート宿題・授業外レポート授業態度・授業への参加度受講者の発表(プレゼン) 
出 席
 
教員独自項目※
95
※成績評価割合の
教員独自項目
備考
化学科物理化学系講義科目(選択科目A群)。教科書はアトキンス第8版を用いる。1年次の「基礎化学1」で用いた教科書(戸田盛和著)の後半も参考にする。なお本科目は、数学の「統計学」とは関係ない。講義は板書中心で行う。毎回復習して、自分でペンを動かして紙に式を導出し直すことと、概念の意味が理解できるまで反復して考え続けるようにされたい。
更新日付 2012/05/15 11:09:38