授業の概要 | この科目は3年次入学試験を経て入学した学生を対象にして,特別に開設されたものである。この科目で修得した単位は,卒業のための必修科目である物理化学通論1の単位として読み替えることができる。履修に際しては,化学科長および教務担当教員の承諾が必要である。 物理化学は,巨視的(マクロ)な世界で観察される実験事実を体系的に記述するとともに,現象を分子論的(ミクロ)な立場から理論的に考察する分野である。この授業では,物質を巨視的な立場から取り扱う熱力学的手法の基礎について講義する。物質三相のうち,最も理論的に取り扱いやすい気体を主な対象として説明する。はじめに,実在気体の性質を取り上げ,続いて,熱力学の基礎を講義する。熱力学第一法則を基に,熱と力学エネルギーの関係,エネルギー保存について解説し,更に熱力学第二法則を基に,エントロピーの概念を解説する。熱力学という学問の歴史的な形成過程を追いながら,熱とは何かに迫る。 | |
学習・教育目標 | 化学現象を巨視的にとらえる上で重要な熱力学の基礎を理解できるように努める。熱力学は美しい理論体系を持った学問である。じっくりと取り組めば決して難しくはない。よりよく理解するためにも,十分に授業内容を復習して欲しい。しばしば演習問題を宿題と課してより理解が深まるようにする。 | |
キーワード | 実在気体,エネルギー保存,エンタルピーと熱化学,エントロピーと不可逆過程 | |
授業計画 | 第1回 序論ならびにSI 単位の話 第2回 理想気体の性質 第3回 理想気体の分子運動論 第4回 気体の非理想的挙動:実在気体のvan der Waals式 第5回 気体の凝縮,臨界点と対応状態の法則 第6回 分子間力 第7回 熱エネルギーと力学的エネルギー 第8回 熱力学第一法則:エネルギーの保存 第9回 内部エネルギーとエンタルピー 第10回 熱化学 第11回 エンジン効率とカルノーサイクル 第12回 熱力学第二法則とエントロピー 第13回 状態変化とエントロピー変化 第14回 熱力学第三法則とエントロピーの分子論的考察 第15回 試験 | |
教科書 | 1. | アトキンス物理化学 第8版(上) 第1-3章 千原,中村 訳 東京化学同人 | |
参考書 | 1. | バーロー物理化学 第6版(上) 大門,堂免 訳 東京化学同人 | |
成績評価方法 | 定期試験の成績を主体にして出席状況を加味して評価する。下の割合はおよその目安である。下の割合はおよその目安である。必ずしも厳密な数値ではない。 | |
成績評価割合 (%) | 定期試験(中間・期末試験) | 小テスト・授業内レポート | 宿題・授業外レポート | 授業態度・授業への参加度 | 受講者の発表(プレゼン) | 出 席 | 教員独自項目※ | 70 | | | 30 | | | | |
※成績評価割合の 教員独自項目 | |
備考 | 化学科特設科目 履修に当たっては,化学科学科長及び教務担当教員の承諾が必要である。 | |
更新日付 | 2009/12/15 10:39:52 |