授業の概要 | 1970年代後半から長足な発展を遂げてきた有機金属錯体化学を基礎として、従来の有機化学では実現できなかった高効率な合成反応が、遷移金属錯体触媒に用いて数多く開発されている。本講義では、クロスカップリング反応やヒドロホルミル化反応などの代表的な触媒反応に焦点を絞り、反応の概要と利用法ならびに反応機構を解説する。特に、触媒反応の中間体である有機遷移金属錯体の構造と反応性との関係に力点をおき、触媒反応を錯体分子レベルで理解する方法についてわかりやすく講義する。本授業の内容は、有機化学および錯体化学と密接に関連している。 | |
学習・教育目標 | 遷移金属錯体を用いる触媒反応を、3回生までに習得した有機反応と対比させながら学習することにより、有機遷移金属錯体の特性と機能を理解する。また、最新の触媒反応を読み解くための基礎学力を養成する。 | |
キーワード | 有機遷移金属錯体、錯体触媒反応、触媒反応機構、炭素ー炭素結合形成、炭素ー水素結合形成、炭素ーへテロ原子結合形成、不斉合成反応 | |
授業計画 | 以下の項目について講義を行う。 1)有機金属遷移錯体の種類と構造 1-1) 有機配位子の種類と18電子則 1-2) 金属ー炭素結合 2)クロスカップリング反応とアリル化触媒反応 2-1) 配位子の配位と解離 2-2) 酸化的付加反応と還元的脱離反応 2-3) 触媒反応の種類と応用 3)オレフィン水素化反応と溝呂木ーHeck反応 3-1) オレフィン挿入反応とβ水素脱離反応 3-2) 触媒反応の種類と応用 4)ヒドロホルミル化反応と関連反応 4-1) カルボニル挿入反応 4-2) 触媒反応の種類と応用 5)オレフィンメタセシス反応 6)オレフィン重合反応 7)不斉合成反応 7-1) 不斉水素化反応と不斉酸化反応 7-2) 不斉炭素ー炭素結合形成反応 | |
教科書 | 1. | 教科書は使用せず、講義内容を記載した資料を配布する。資料はインターネットで配信するので各自ダウンロードすること(URL等については授業中に説明する)。 | |
参考書 | 1. | 大学院講義有機化学I』(9, 10章) 野依良治他編 東京化学同人 | |
成績評価方法 | 出席状況・授業態度、レポート、筆記試験を総合して評価する。 | |
成績評価割合 (%) | 定期試験(中間・期末試験) | 小テスト・授業内レポート | 宿題・授業外レポート | 授業態度・授業への参加度 | 受講者の発表(プレゼン) | 出 席 | 教員独自項目※ | 70 | | 20 | 5 | | 5 | | |
※成績評価割合の 教員独自項目 | |
備考 | 化学科無機化学系講義科目(応用選択科目)。『有機金属化学(棚瀬)』の習得を前提として講義を行う。非常勤講師:小澤文幸(京都大学化学研究所・教授) 連絡先:C棟C323 室(棚瀬) | |
更新日付 | 2009/12/21 14:56:33 |