授業の概要 | 我々を取り巻く様々な物質の性質や機能は,原子やイオン,分子,およびその集合体の“構造”と密接に関係づけられる。原子や分子が集合して形成される固体物質は,構成要素である原子や分子そのものとは異なる性質(物性)を示すことが知られている。このようにして生じる新物性や特異な反応性は,結晶中で構成要素が多次元的・周期的に配列したことにより現れるものである。本講義では原子やイオンが周期配列することで生じる“結晶軌道”と“バンド”に着目し,電気伝導性や磁気物性など固体化学の基礎を学んでいく。また,このような物質の構造,すなわち分子や原子の配列の解明に中心的な役割を果たすX線構造解析について基本原理と実際について述べる。 | |
学習・教育目標 | 金属やイオン性結晶などの単純な固体の構造を理解するとともに,バンド理論の基礎を学ぶ。X線結晶構造解析において金属原子やイオンの大きさを決定したり,さらには,複雑な分子の三次元構造を明らかにする仕組みを学習する。また,それらの構造を背景に固体物質が持つ種々の物性(磁性・伝導性等)について具体例をもとに理解する。 | |
キーワード | 固体,金属,イオン固体,バンド理論,X線回折,磁性,伝導性 | |
授業計画 | 以下の内容について講義を行う。 1) 固体の構造と性質に関する概説 a. 分子固体,イオン固体,共有固体,金属固体 b. 固体構造の基礎知識-単位格子と結晶構造 c. バンドと結合 d. 金属,絶縁体および半導体 2) バンド理論の基礎 a. 一次元の結晶軌道 b. 二次元・三次元のバンド構造 3) X線の散乱と回折 a. 粉末法 b. 結晶格子と空間群 c. 単結晶X線回折 d.X線解析から得られる情報 4)固体構造と電子物性 5)固体構造と磁性 | |
教科書 | 1. | シュライバー・アトキンス「無機化学」4版、3章 東京化学同人 | 2. | アトキンス「物理化学」、21章 東京化学同人 | |
参考書 | 1. | 固体化学の基礎 S. E. Dann著,田中勝久訳 化学同人 | 2. | 固体物理学入門 第8版〈上〉 C. Kittel著,宇野他訳 丸善 | 3. | 固体の電子構造と化学 P. A. Cox著,魚崎他訳 技報堂出版 | |
成績評価方法 | 出席状況・授業態度,レポート,筆記試験を総合して評価する。 | |
成績評価割合 (%) | 定期試験(中間・期末試験) | 小テスト・授業内レポート | 宿題・授業外レポート | 授業態度・授業への参加度 | 受講者の発表(プレゼン) | 出 席 | 教員独自項目※ | 60 | 0 | 10 | 0 | 0 | 30 | 0 | |
※成績評価割合の 教員独自項目 | |
備考 | |
更新日付 | 2009/12/18 21:32:22 |