授業の概要 | 化学反応の速度に関する講義である。化学反応論は,構造論,物性論と並ぶ物質科学の三本柱の一つであり,時間の関数で物質の化学変化の速度やそのメカニズムを研究対象とする学問である。本講義では,化学反応がどの程度まで進行し,どのような速度で進行するかについて,1次反応,2次反応,複合反応などを例にわかりやすく解説する。また,種々の反応の反応機構,反応速度と熱力学パラメーターの関係,反応速度理論(衝突理論,遷移状態理論)の解説も行う。講義形式で行い,講義内容の理解を深めるために演習問題や教科書の章末問題のレポートを課す。 | |
学習・教育目標 | 化学反応速度論の基礎的な解釈ならびに理論を理解する。また,単純な反応系において反応を定量的に解析できるようになるとともに,反応分子の構造やエネルギーが実測される反応速度にどのように反映されるかを理解する。 | |
キーワード | 反応速度式,速度定数,半減期,アレニウス式,活性化エネルギー,複合反応,定常状態近似,緩和法,酵素反応,衝突理論,遷移状態理論 | |
授業計画 | 【第1回】序論:熱力学による平衡論と分子運動による反応速度論について 【第2回】化学反応速度:測定法,反応速度の定義,速度定数,反応次数, 速度式の決定法 【第3回】積分型速度式:1次反応,2次反応,n次反応,半減期 【第4回】複合反応:可逆反応,競争反応 【第5回】緩和法:緩和時間,温度・圧力ジャンプ法 【第6回】反応速度の温度依存性:アレニウス式,アレニウスパラメーター 【第7回】速度式の解釈1:素反応,逐次反応(律速段階,定常状態近似), 前駆平衡 【第8回】速度式の解釈2:ミカエリス-メンテン機構(酵素反応), 酵素の阻害 【第9回】速度式の解釈3:リンデマン機構,複合反応の活性化エネルギー 【第10回】複雑な反応の速度:連鎖反応,爆発反応,光化学反応 【第11回】触媒作用と振動:触媒反応,振動反応 【第12回】衝突理論と遷移状態理論:アイリングの式,活性化パラメーター 【第13回】遷移状態理論:反応速度と熱力学パラメーターの関係 【第14回】固体表面上の反応速度:物理吸着と化学吸着,吸着等温式 【第15回】試験 | |
教科書 | 1. | アトキンス「物理化学(下)第8版」 千原ら訳 東京化学同人 2009 | |
参考書 | 1. | マッカーリ・サイモン「物理化学(下)」 千原ら訳 東京化学同人 2000 | 2. | はじめての化学反応論 土屋荘次 岩波書店 2003 | |
成績評価方法 | 成績は,試験,小テスト,レポート(演習問題,章末問題),出席・参加状況を総合して評価する。 | |
成績評価割合 (%) | 定期試験(中間・期末試験) | 小テスト・授業内レポート | 宿題・授業外レポート | 授業態度・授業への参加度 | 受講者の発表(プレゼン) | 出 席 | 教員独自項目※ | 70 | | 15 | 5 | | 10 | | |
※成績評価割合の 教員独自項目 | |
備考 | 化学科物理化学系講義科目(選択科目B群)。連絡先:C棟3階C311室 | |
更新日付 | 2009/12/19 16:33:04 |