授業の概要 | 金属錯体の特徴的な物性として磁性、電気伝導性、光物性の三つがあげられる。最近のナノ金属錯体研究の隆盛によりこれらの研究が盛んに展開されているが,特に磁気特性の詳細を研究することで金属イオン間に働く相互作用が鮮明に見えてくる。本講義では金属イオン間の磁気的相互作用を記述するための基本的な式の導出から,近年新たな機能性材料として注目を集めている分子磁性体など最新の成果までを俯瞰していく。 | |
学習・教育目標 | 集積型金属錯体の磁気化学について基礎を習得するとともに,最新の分子磁性の動向について理解する。 | |
キーワード | 磁気的相互作用,磁化率,軌道直交性と強磁性的相互作用,分子磁性,単分子磁石,単一次元鎖磁石 | |
授業計画 | 以下の項目について講義を行う。 1:序,磁性とは. 2:磁性の基礎1~強磁性・反磁性・フェリ磁性 3:磁性の基礎2~キュリーワイス式 4:電子構造と磁性 5:磁性がなぜ温度に依存するのか1~神戸モデル,二核の式の導出 6:磁性がなぜ温度に依存するのか2~複雑な系の式の導出 7:スピンの整列を制御する~軌道直交性と強磁性的相互作用 8:軌道直交性を論文で読み解く~大川ら,Kahnらの論文を読む 9:温度により磁性が変わるもう一つの系~スピンクロスオーバー 10:電子構造と磁気異方性 11:分子磁性体1~バルク磁性体1 12:分子磁性体2~バルク磁性体2,透明な磁石・プルシアンブルー型錯体 13:分子磁性体3~単分子磁石 14:分子磁性体4~単一次元鎖磁石 15:まとめ | |
教科書 | 1. | Molecular Magnetism, Olivier Kahn著(現在絶版,詳細については当日指示) | |
参考書 | |
成績評価方法 | 出席状況・授業態度,レポート等を総合して評価する。なお,レポートの課題は授業がある程度進んだ段階で出され,レポートの提出と共に内容に関する発表・質疑応答を行う。 | |
成績評価割合 (%) | 定期試験(中間・期末試験) | 小テスト・授業内レポート | 宿題・授業外レポート | 授業態度・授業への参加度 | 受講者の発表(プレゼン) | 出 席 | 教員独自項目※ | 0 | | 40 | 60 | | | | |
※成績評価割合の 教員独自項目 | |
他専攻(複合コース等) の学生の問い合わせ方法 | 履修に際しては予め担当教員に相談し了承を得ること。大学学部レベルの錯体化学及び量子化学を理解していることを前提とする。 | |
備考 | 本科目受講希望者は、事前に化学科専攻長に申し出ること。 | |
更新日付 | 2009/12/18 21:54:38 |