授業の概要 | 『有機金属化合物』は金属―炭素結合を持つ有機無機複合体で,金属原子の多様な電子状態と構造的に精密設計された有機物との複合効果により多くの新しい物性や反応性がこれまでに見いだされてきた。近年この分野からのノーベル賞受賞は数多く,また,工業触媒として実用化されている化合物も多い。本講義では,遷移金属原子を含む有機金属錯体を中心に,近年確立した電子状態に関する考え方と反応性及び触媒的応用について,最近報告された論文をまじえて解説する。また,次代機能材料として学際的に期待され,金属―金属結合の生成により分子構築される遷移金属クラスター化合物についても基礎と最近の話題について講義する。 | |
学習・教育目標 | 遷移金属原子を含む有機金属錯体およびクラスター化合物の構造と電子状態について,分子軌道法に基づく考え方を学習する。また,それらの反応性や触媒的応用について,最近発表された論文を中心に調査し系統的理解を得る。 | |
キーワード | 有機金属錯体,遷移金属,金属クラスター,金属―金属結合,分子軌道法,有機反応,触媒反応 | |
授業計画 | 以下の項目について講義を行う。 1)有機金属化合物の構造と電子状態 1―1)d電子の取り扱い方 1―2)EAN則と分子軌道法 1―3)アイソローバル類似の考え方 1―4)金属―金属結合と金属クラスター 1―5)Wade-Mingos-Lauher則とTEC理論 2)有機金属錯体を用いた触媒反応 2―1)有機金属錯体の基本反応 2―1)C-H結合活性化 2―2)二酸化炭素の還元 2―3)窒素分子の活性化 2―4)工業触媒反応 3)遷移金属クラスターの合成と反応 3―1)金属―金属結合の生成と反応性 3―2)低原子価遷移金属クラスターの合成と反応 3―3)高原子価金属クラスターの合成と反応 3―4)ナノ構造を持つ金属クラスターの開発と 最近の話題 | |
教科書 | 1. | 「The Organometallic Chemistry of The Transition Metals」 (4th). また,講義資料をインターネットで配信するので各自ダウンロードすること(URL等の詳細については授業中に説明する)。 Robert H. Crabtree Wiley-Interscience 2005 | |
参考書 | 1. | 有機金属化学―その多様性と意外性―』,化学新シリーズ 小宮三四郎・碇屋隆雄 裳華房 2004 | 2. | 無機化学』(第4版)下 シュライバー・アトキンス(田中他訳) 東京化学同人 2009 | 3. | 基礎有機金属化学 中村晃編 朝倉書店 | |
成績評価方法 | 出席状況・授業態度,レポート等を総合して評価する。なお,レポートの課題は授業がある程度進んだ段階で出され,レポートの提出と共に内容に関する発表・質疑応答を行う。 | |
成績評価割合 (%) | 定期試験(中間・期末試験) | 小テスト・授業内レポート | 宿題・授業外レポート | 授業態度・授業への参加度 | 受講者の発表(プレゼン) | 出 席 | 教員独自項目※ | 0 | | 40 | | | 60 | | |
※成績評価割合の 教員独自項目 | |
他専攻(複合コース等) の学生の問い合わせ方法 | 履修に際しては予め担当教員に相談し了承を得ること。大学学部レベルの錯体化学及び有機金属化学を理解していることを前提とする。 | |
備考 | |
更新日付 | 2009/12/21 13:48:20 |