講義コード 7330500
開設科目名 分子統計論
科目群名
専攻 化学
コース
担当教員 衣川 健一
教員所属 理学部
開講期・曜日・時限・教室 前期 火曜日 3・4時限 B1208
授業方法 講義
対象学生 1年次以上
単位数 2.0
週時間 2



授業の概要
物質を多数個の原子・分子から成る分子集団と捉え、その物性を説明する理論体系である統計熱力学の基礎を講述する。個々の原子・分子の古典力学の原理から始め、集団の熱力学的性質が発現する機構を理解せしめる。分子集団の静的性質を記述する諸関数と動的性質を記述する言語、さらにそれらの基礎となる理論の考え方を平明に講述する。古典力学に従う分子から成る集団に対するボルツマン統計と周辺の理論を述べた後、分子が量子論に従う場合の考え方(量子統計力学の基礎)について述べ、量子性が重要になってくる低温物質のふるまいや、プロトン・水素の関与する現象(DNA転写過程における突然変異など)について述べる。
学習・教育目標
物質の物性を基本原理から演繹的に導く理論や考え方を知り、それによって物質の性質に対する論理的、演繹的な理解を身につける。それを通じて物質の性質の発現のメカニズムや原理自体をより深く理解できるようになればよい。
キーワード
化学統計力学、化学熱力学、古典力学、経路積分、分布関数理論、ランダムウォーク
授業計画
第1回 古典力学の原理・ハミルトン形式による古典力学の記述
第2回 Maxwell-Boltzmann分布
第3回 分布関数について
第4回 酔歩と拡散過程
第5回 ブラウン運動とマルコフ過程
第6回 可逆性と不可逆性およびBoltzmannのH定理
第7回 時間相関関数とパワースペクトル
第8回 パワースペクトル・ゆらぎについて
第9回 量子性の導入について(酔歩と干渉性)
第10回 経路積分法の考え方(シュレディンガー方程式を用いない量子論の考え方)
第11回 経路積分法の考え方(続き)
第12回 分子集団に対する量子性の導入
第13回 物質における量子性発現の例(低温物質)
第14回 物質における量子性発現の例(プロトンの関与する現象・DNA転写過程における突然変異)
第15回 総括
教科書
1. 必要に応じて資料配布
参考書
1. 統計熱物理学   藤田重次 裳華房
2. 統計力学概説 David Chandler オーム社
3. 統計物理学 今田正俊 丸善
成績評価方法
出席とレポートを総合して評価する。レポートは講義内容に基づく平明な課題。
成績評価割合
(%)
定期試験(中間・期末試験)小テスト・授業内レポート宿題・授業外レポート授業態度・授業への参加度受講者の発表(プレゼン) 
出 席
 
教員独自項目※
05050
※成績評価割合の
教員独自項目
他専攻(複合コース等)
の学生の問い合わせ方法
最初の講義時に問い合わせ
備考
内容はあくまで化学を専攻する院生向けのものであり、わかりやすい内容である。修士論文テーマの指向に関わらず広く受講を歓迎する。
更新日付 2009/12/19 17:46:16