国立大学法人 奈良女子大学 理学部化学科・大学院化学専攻 物質の本質と機能を原子・分子レベルで解き明かす

化学科の紹介

はじめに

わたしたちの身の回りを眺めてみて下さい。パソコン、携帯電話、本、シャープペンシル、鉛筆、テレビ、家具、食べ物など、これらはすべて「化学物質」で成り立っています。「化学物質」は、新聞やテレビなどで環境を汚染するものとして報道されていますが、わたしたちの体や環境に悪影響を及ぼす物質は化学物質のほんの一部にすぎません。わたしたちの体を作っているタンパク質やアミノ酸、酵素などもすべて化学物質なのです。
 『化学(Chemistry)』は、物質を原子・分子のレベルでとらえ、その構造や性質および変化を明らかにすることによって新しい原理や概念を生み出し、さらに新しい物質を創造して人類に貢献することができる学問です。また、環境に悪影響を及ぼす物質でも、それらの構造や性質を理解することによって安全な物質に変換することも化学の力によって可能なのです。現代の科学技術の発展には驚くべきものがあり、化学の自然科学における役割はますます重要になっています。このような自然科学における化学への期待を反映して、化学における研究領域はますます広がり、基礎的研究だけではなく、多彩な応用的研究も展開されています。みなさん、このような魅力ある化学の世界をわたしたちと一緒に学んでみませんか!
 それでは、奈良女子大学理学部化学科ではどんなことを学ぶのでしょうか?また、どんな研究をしているのでしょうか?さらに、卒業するとどんな道が開かれているのでしょうか?

奈良女子大学理学部化学科では

本学化学科は、無機化学、分析化学、有機化学、物理化学、高分子化学、生物化学などの分野を融合した、基幹化学講座(生命有機化学、有機合成化学、理論物理化学、物性物理化学の4教育研究分野)と機能化学講座(生物無機化学、有機金属・錯体化学、機能性高分子化学、機能性材料化学の4教育研究分野)の2大講座からなり、16名の教員を中心にして、化学の基礎から最先端まで活発な教育と研究を行っています。最近では、化学だけを中心とした単独の学科が全国的に少なくなりつつありカリキュラムの整備が年々難しくなっていますが、当化学科では、教員スタッフが毎年吟味を重ねた「化学を基礎から学ぶ上での完成された教育プログラム」を実践しています。
 化学科に入学すると、一般的な教養科目(教養教育科目)、理学部の学生として少なくとも勉強してもらいたい科目(理学部共通専門科目)、および化学科独自の化学に関する科目(化学科専門科目)を履修します。教養教育科目、理学部共通専門科目については各自の興味に基づいて科目を選んでください。ただし、理学部共通専門科目の数学系科目「微分積分学概論IおよびII」については必ず履修するよう指導しています。
 化学科専門科目として1年次では、「化学のための物理I」と「化学のための物理II」が開講されます。化学科なのに物理からスタートするの?との疑問の声があがるかもしれません。しかし、物理はあらゆる科学の基礎となる学問であり、化学においても物理を理解せずにはその本質に迫ることはできません。そこで、化学科の教員が化学の立場にたってわかりやすく丁寧に教える物理系の科目を確実に履修していただきます。
 また、1年次では、必修科目である「基礎化学I〜IV」を履修します。これらの科目は高校の化学から大学の化学へスムーズに移行できるように工夫されたものです。この基礎的な科目を確実に修得することにより、これまでの暗記中心の化学から脱却し学生諸君自らが考えることにより成立する”学問としての化学”を理解することができるようになります。
 2年次以降は、無機化学系、有機化学系、物理化学系の各専門分野の理解を深めていく科目が始まります。化学の基礎から応用的・学際的な分野までを確実に履修できるカリキュラムとなっています。
 実験系科目は1年次後期からスタートします。1年次後期の前半に「化学実験法」を履修し、化学実験を行うにあたり最も重要な安全に関する知識(安全教育)と化学実験の基本操作について勉強します。その後3年次終了まで、毎週(1年次は木曜の午後、2年次は火曜の午後、3年次は木曜および金曜の午後)学生実験室で実際に実験を行う実験科目「化学基礎実験」、「化学専門実験」を履修します。実験の中には、コンピューターの活用も含まれています。化学科のすべての実験では、1グループ10名程度の少人数に対して教員1名とティーチングアシスタント(大学院生)によるきめ細かな指導を心がけています。
 4年次の1年間は研究室に配属され、各教員の指導や助言をもとに卒業研究を行います。1年次から3年次までの講義や実験を通して身につけた化学を用いて卒業研究を行い、”研究とはどういうものか”を実体験を通して理解していただきます。そして、その研究成果を2月の中旬頃に行う”卒業研究発表会”にて各自に発表していただきます。
 なお、優秀な成績を修めた学生は、3年以上4年未満で早期卒業し、通常より早く大学院へ進学することもできます。

化学科では、一般選抜試験(前期日程と後期日程)のみならず、センター試験を課さない推薦に基づく入試や帰国生および私費外国人留学生を対象とする入試といった特別選抜があります。さらに、幅広い人材の育成をめざして高等専門学校卒業者、大学2年次修了者、短期大学卒業者を対象に第3年次編入学制度(推薦・一般選抜)を設けています。第3年次編入学生に対しては個々の学力に応じた特別のプログラムも用意しています。

奈良女子大学は近鉄奈良駅から徒歩3分のところにあり、大阪や京都からも約30分と通学するのにとても便利です。周辺には緑が多く名所旧跡が点在する安全で豊かな環境があり、近代的な学生寮も整備されていますので、遠方の方が下宿される場合も安心です。このように恵まれた環境の中で、流行に流されることなく自らの夢を実現するための真の力を養ってください。

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奈良女子大学大学院化学系専攻では

博士前期課程化学専攻(修士課程)

将来、自然科学の分野で、研究者として、あるいは教育者として、または、専門を生かした幅広い分野の職業人として社会で活躍したいと思っておられる方は、大学院で最先端の研究活動を通じて高度な知識と技術を習得し、さらに、さまざまな経験を身につけて個性を伸ばすことが不可欠です。奈良女子大学には、大学院「人間文化研究科」があります。博士前期課程(旧修士課程)の「化学専攻」には、理学部化学科と連動した形で基幹化学コースと機能化学コースがあります。課程を修了後、論文審査を経て授与される学位は修士(理学)です。修士論文研究が優秀な学生は、1年以上2年未満で修士の学位を取得し、博士後期課程に進学することも可能です。
 なお、入学時期は4月入学(通常入学)と10月入学(秋季入学)があり、それぞれに入学者選抜試験が実施されます。

博士後期課程共生自然科学専攻(博士課程)

「もっと自分の力を伸ばしたい、自分の可能性にトライしたい」、「研究者になって新しい発見をしたい」、「外国で研究者として働きたい」などと考えるみなさんは博士後期課程に是非進学してください。大学院後期課程では最も高度で自由な研究教育が展開されています。
 現代社会では、博士の学位はゴールではなく、飛躍するためのパスポートのようなものと認識されています。また、世の中は学歴社会から実力社会へと急速に変貌しています。流行や周囲の環境に流されることなく、地に足をつけ本当の力を養う場を私たちは提供したいと考えます。「化学」あるいはその周辺の学問領域をさらに深く学び、研究者としての基本的な素養を身につけるためには、本学人間文化研究科では博士後期課程があり、化学系の専門分野は「共生自然科学専攻」の機能性物質科学講座が担当しています。本専攻の課程を修了後論文審査を経て授与される学位は博士(理学)です。
 入学時期は4月入学(通常入学)と10月入学(秋季入学)があり、それぞれに入学者選抜試験が実施されます。博士後期課程は修士あるいは修士と同等と認められる2年以上の社会経験をもつ女子および修士の学位をもつ外国人留学生(女子に限る)にも開かれており、社会人特別選抜制度、外国人特別選抜制度が設けられています。また、平成16年4月から長期履修学生制度も導入されています。

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奈良女子大学化学科には女子学生しかいないのでしょうか?

 そんなことはありません。男女共同参画型社会の実現には研究教育の現場においても男子と女子が協力し、時には切磋琢磨すると同時に互いを尊敬しあうべきです。化学科や大学院化学系専攻の正規学生は女子に限られていますが、大学院の研究生としては男子も受け入れています。
 また、日本学術振興会(JSPS)や科学技術振興機構(JST)の博士研究員も男子受け入れ可能です。実際に、化学系教員の研究室では女子学生以外にそのような男子研究員(研究生)が協力しあい研究を進めています。時には他大学に在籍する男子学生が、特別研究生として本学で共同研究を行うこともあります。

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